「2050年までの住宅等の省エネ化」って何?家を建てるなら知っておきたい「省エネ基準」
2022.04.05
2022.04.05

最近よく耳にするようになったSDGsの影響もあり、「地球環境や人に優しい世界を目指そう」という意識が高まっています。
そして、この考え方は住宅や建築物も例外ではありません。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、省エネルギー基準(以下、省エネ基準)が2020年から変更され、2025年には省エネ基準の適合義務化が決定しました。
義務化のため、これから住宅を建てる予定の方は省エネ基準について知っておく必要があります。
本記事では、住宅の省エネ基準やカーボンニュートラルについてまとめました。
まずは、省エネ基準と深い関わりのあるカーボンニュートラルとは何かを知りましょう。

カーボンニュートラルとは人間の活動によって排出された温室効果ガスを、人為的な吸収量(植林や森林管理などよって、温室効果ガスが吸収される量)から差し引き、実質ゼロにすることです。
別名「脱炭素」とも呼ばれています。現時点では、温室効果ガス排出量を完全に抑えることは難しいため、「排出量の分だけ吸収(または除去)量を差し引き、ゼロにしましょう」となりました。
そのため、省エネ基準により住宅のエネルギー消費性能が上がることで、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量も減少。
カーボンニュートラル実現に近づくのです。またカーボンニュートラルはSDGs(※)の目標達成に深く関わっており、特に目標13「気候変動に具体的な対策を」では温室効果ガスについて触れています。
(※)SDGsとは:「Sustainable Development Goals」の略称で、持続可能な開発目標のことを指す。2015年に開催された国連総会にて、193の加盟国が賛同した国際目標。世界中で起きている環境・社会・経済の課題を解決するために、17の目標と169のターゲットが設定されています。
カーボンニュートラルの目的を理解したところで、続いては、住宅の省エネ基準について触れていきましょう。

省エネ基準とは平成27年に公布された、建築物のエネルギー消費性能を向上させるための法律です。
「外皮基準」と「一次エネルギー消費量基準」の、2つの基準を用いて評価します。

引用元:住宅の省エネルギー基準|IBEC建築省エネ機構
(https://www.ibec.or.jp/ee_standard/build_standard.html)
住宅のみの評価が「外皮性能基準」、住宅と使用するエネルギーも含めた評価が「一次エネルギー消費基準」となります。
覚えておきましょう。
そして、これまでの省エネ基準は「発生した熱エネルギーを逃がさないようにする」ことに重きを置いていました。
しかし今回の改変では、「熱エネルギーを作り出す家電や装置」にも注目し評価基準を設定しています。
そのため、改変後の省エネ基準に満たない家電や装置は設置できなくなるのです。

先述した通り、省エネ基準では外皮性能基準と一次エネルギー消費基準の2つを評価します。
そして外皮性能基準には、断熱性能を指す「熱貫流率Ua値」があります。このUA値は、高ければ高いほど断熱性能が低いことを、低ければ低いほど断熱性が高いことを意味します。
またUa値の基準は地域ごとに異なり、下記のように8つに区分されているのです。

引用元:住宅の省エネルギー基準|IBEC建築省エネ機構
(https://www.ibec.or.jp/ee_standard/build_standard.html)
例えば、鹿児島県を見てみましょう。地域区分「7」を示す鹿児島県のUa値は0.87と記載されています。そのため鹿児島県で家を建てる際は、Ua値0.87を下回るようにしなければいけません。
その他にも、冷房期の平均日射熱取得率を表す指標「ηAC(イータ・エーシー)」は、太陽日射の室内への入りやすさを示しています。
数値が小さいほど日射は入りにくく、日射を遮る性能(遮蔽性能)が高いことを意味しているのです。
地域区分は下図の通りになります。

引用元:住宅における外皮性能|国土交通省

2020年に改変され、2025年には適合義務化が決定した省エネ基準。
この省エネ基準は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」でも触れられています。
建築士は、300 ㎡未満の建築物の新築や増改築の設計を行う際に、建築主に対して省エネ基準への適合性等について、書面を交付し説明することが義務付けられました。
また建築主は建築物について、省エネ基準に適合するよう努力義務が同じ 法律で課せられています。
建築主が説明を希望しない場合は、建築士からの説明は行われませんが、自分が暮らす住まいのことを知っておくと安心にも繋がります。
省エネ基準に適合していない場合は、省エネ性能の確保のためにどうすればよいか説明もしてくれるため、聞いておいて損はありません。建築士からの説明を、積極的に求め省エネ基準に適合する建築物を目指しましょう。
省エネ基準は、人や自然環境への負荷を軽減した家づくりを行うためにも必要不可欠なものです。
そして、「これから家を建てる」または「家づくりを考えている」人は、省エネ基準について最低限の知識を身につけておく必要があります。
しかし、「自分で調べてみたけれど、難しくて分からない」という人もいるでしょう。
そういった悩みを解決するために、住宅会社以外のプロに話を聞くことも方法の1つです。
私たちイエタッタは、住宅に関する知識を家づくり初心者にも分かりやすくお伝えしています。
「住宅会社を利用する前に最低限の知識を身につけたい」「第三者目線で正しい情報が欲しい」という方はお気軽にご相談ください。