地震に強い家づくりをしよう!鹿児島で暮らすための地震対策
2024.03.13
2024.03.13
温暖で暮らしやすい気候の鹿児島県は、近年移住地としても人気を集めています。その一方で、台風による災害や桜島噴火による火山灰、地震が多い地域であるため、住宅への防災対策が呼びかけられています。鹿児島で安心して暮らすためには、地震に強い家づくりは必要不可欠と言えるでしょう。
そこで今回は、地震の強さを示す「耐震等級」の解説に加えて、地震に強い家の特徴、家を建てるときの注意点についてお伝えします。
鹿児島県では、ここ数十年、マグニチュード5.0以上の地震が何度も発生しています。地震が多いとされる理由の一つに、鹿児島県がトラカ列島であることが挙げられます。トラカ列島とは、鹿児島県の屋久島から奄美大島までの間に点在する12の島々のことです。トラカ列島の島々はすべて霧島火山帯に属する「火山島」のため、噴火によって地震が引き起こされることは珍しいことではありません。また、トラカ列島がのっているユーラシアプレートの下には、フィリピン海プレートが沈み込んでいます。ここに「ひずみ」が生まれると考えられており、この「ひずみ」を解消するために地震が頻繁に起こると言われています。
このような理由から鹿児島県は地震が多いと考えられます。しかし、日本は地震大国であるため、いつ、どこで地震が起こるのか誰にも予想はできません。したがって、日々生活の中で地震に対する備えと対策を講じることが大切です。
ここまで、鹿児島県は地震や自然災害が多いことについて解説しました。それでは、地震に強い家とは具体的にどのような家を指すのでしょうか。地震に強い家の判断基準として、次のような特徴があります。
この章では、地震に強い家の特徴について項目ごとに解説していきます。
正方形や長方形の家は、ねじれの力が発生しにくいため地震に強いと言われています。その一方で、L字型やコの字型の家はねじれの力が発生しやすく、局所的に強いエネルギーが発生する恐れがあるため、地震時の倒壊リスクが高まる可能性があります。
地震に強い家は、「耐震性」・「制震性」・「免震性」に優れています。それぞれの特徴や構造について見ていきましょう。
① 耐震構造
近年、住宅性能への関心が高まっているため、「耐震」という言葉は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。耐震構造とは、建物の強度を高め、地震などによる水平方向の揺れに耐えられるよう設計した構造のことです。
耐震性を高めるには、耐力壁をバランスよくなるべく多く配置することが重要です。「耐震壁」とは耐震性能を有する壁で、筋交いのある壁や構造用合板等の耐震パネルを貼られた壁を指します。また、「耐震壁」を支える柱や梁のバランスも非常に重要です。2階建ての木造住宅の場合、2階の柱の直下に1階の柱がどれくらいあるかという「直下率」という指標があり、直下率が高いほど耐震性能が優れていると言われています。
また、「2×4(ツーバイフォー)工法」も地震に強く優れた工法です。2×4(ツーバイ フォー)工法とは、従来の木造住宅のように柱や梁を組み立てるのではなく、枠組みに耐 震性能を有するパネルを貼り付ける方法で構成された工法です。面材を組み合わせてつく る工法のため耐震性が高く、地震の多い地域にも適しています。
② 制震構造
制震構造は、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。簡単に説明すると、地震が起こったときの揺れを吸収する構造のことを言います。具体的には、ダンパーと呼ばれる装置を壁内部に備えることで地震の衝撃をダンパーが吸収します。それによって家へのダメージを最低限に抑え、倒壊を防ぐことができます。また、制震性の高い家では実際の地震より揺れを弱く感じます。そのため、恐怖感を軽減できる、家財が守られるというメリットがあります。
③免震構造
免震構造は、建物と基礎(地面)の間に免震装置を挟むことで地震の揺れを吸収する構造です。制震構造と同様に、ダンパーや積層ゴムを設置することで地面からの衝撃を抑え、振動を伝わりにくくします。3つの構造の中で、地震に対しての効果が最も高く安全性に優れた構造です。しかし、費用が高額であることから戸建住宅に用いられることはほぼなく、主に高層マンションや集合住宅で採用されています。
家を建てる前に、家の重さに耐えられるか、液状化の危険性がないかなど土地を調べます。これを「地盤調査」と言います。地盤の弱い土地では、地震の揺れや大雨に耐えきれず、崩壊したり沈下したりする可能性があるため大変危険です。したがって、建築前に地盤調査を行い必要に応じて地盤改良工事を施します。
ただし、土地購入から家づくりを行う場合、原則として土地購入前に地盤調査ができません。その場合、近隣の地盤調査データを参考にすることがあります。なお、地盤調査の費用は、土地の買主が負担します。注文住宅を検討している方は、地盤調査費用の支払いが生じるため注意が必要です。あらかじめ、地盤調査の方法や時期、費用について住宅会社の担当者に相談してみましょう。
耐震等級は、地震に対する建物の強度を示した指標です。耐震性能によって等級1から等級3までの3段階に分けて表されます。数字が大きいほど建物の耐震性が高いことを表しているため、建物を建てるときや戸建てを購入するときの参考にしてください。耐震等級の区分や基準については以下の通りです。
もし注文住宅で耐震等級2、3を取得する場合、別途で費用がかかる場合があるので注意してください。その費用は補強費用、構造計算費用、「建設住宅性能評価書」や「設計住宅性能評価書」、「耐震性能評価書」の取得に関する申請手数料等です。評価書を取得すれば耐震等級毎に地震保険の割引を受けられる場合があるので検討してみてください。
注文住宅は、理想の家づくりが叶います。しかし、外観や間取りだけにこだわるのではなく、耐震性についても考えておく必要があります。また、鹿児島の気候や土地の特徴を理解しておくことも非常に大切です。鹿児島で地震に強い家づくりを行う際には、以下の点に注意しましょう。
1.窓の数と大きさ
2.吹き抜け
3. ビルトインガレージ
4.降灰量
5.二重窓
項目ごとに解説していきますので、家づくりの参考にしてください。
大きな窓は、開放感や換気、日光をしっかりと取り入れることができる、など生活するうえで多くのメリットがあります。その一方で、窓を設置すると壁の面積が減るため耐震性が弱くなります。そのため、窓の数や大きすぎる窓の設置には注意が必要です。家全体のバランスや構造、耐震性など、総合的に判断して決めると良いでしょう。
近年、玄関やリビングを吹き抜けにする間取りが人気です。吹き抜けには、開放感を演出する、光を取り入れるなどのメリットがあります。一方で、吹き抜けをつくるためには柱、梁、壁を減らす必要があるため、耐震性の点では強度が低くなります。吹き抜けを取り入れたい場合は、専門家による構造計算で安全性を確認し、適宜補強を行う対策をしましょう。
ビルトインガレージは狭い土地を上手く活用し、居住スペースと駐車場を確保することができます。しかし、耐震性については注意が必要です。ビルトインガレージは、1階が駐車場となるため、道路側に大開口をつくります。さらに、居住スペースに比べて柱や壁が少なくなるため、地震による強い揺れが起こった場合、揺れに耐えきれない恐れがあります。耐震性を重視しながらビルトインガレージをつくる場合は、構造計算で安全性を確認することがおすすめです。
鹿児島で家を建てる場合、地域の降灰量を調べてく必要があります。降灰量は、以下の鹿児島県のホームページで確認することができます。
降灰量が多い地域では、日々の生活や建物に影響が出る場合があります。たとえば、洗濯物が外に干せない、車が汚れる、空調フィルタの目詰まり、屋根の損傷などです。住む地域によって降灰量は異なるため、必要に応じて対策を検討しましょう。
●鹿児島は噴火の影響によって地震が起こりやすい
●地震に強い家は「地盤」「構造」が重要
●耐震等級は数字が大きいほど耐震性が高い
●鹿児島で家を建てるときは、土地の特徴、気候にも注意する
今回は鹿児島で暮らすための地震対策についてお伝えしました。鹿児島には桜島があることや、トラカ列島に位置していること、海に囲まれていることなどから大地震が起きたときのリスクは大きいと考えられます。また、台風や火山灰などの対策も必要となるため、暮らしの中で工夫が必要になるでしょう。しかし、鹿児島県にはここにしかない食・自然・人・文化などの魅力が溢れています。ぜひ今回の記事を参考にしていただき、鹿児島でリスクを抑えた安心安全な暮らしを実現してください。